Pythonでのブートストラップ法の実装

ブートストラップ法とは、統計的な推論や検定において、サンプルサイズが小さい場合に、母集団分布の性質を推定するための手法です。ブートストラップ法は、既知の分布からのサンプリングを利用する代わりに、元のデータセットからランダムサンプリングを行い、大量のサンプリングデータを生成することによって、推定値の分布を近似します。Pythonでブートストラップ法を実装するためには、NumPyとScipyのライブラリを使用します。以下のようなステップで実装します。

ブートストラップ法とは

ブートストラップ法は、標本から復元抽出を行い、その復元標本から統計量を計算する手法です。この手法は、標本が小さい場合に、母集団の分布についてより正確な推定を行うことができます。

具体的には、以下の手順で行います。

  1. 元の標本から、復元抽出によって、大きさが元の標本と同じである復元標本を複数回生成します。
  2. 生成された復元標本から、統計量を計算します。
  3. 2で得られた統計量の分布から、母集団における統計量の分布を推定します。

この手法は、標本が小さい場合に有効であり、信頼区間の推定や仮説検定などに応用されます。

データの読み込み

例として、irisデータセットを使用します。以下のように、データを読み込みます。Irisデータセットは、機械学習の分野で広く使用される代表的なデータセットの一つで、アイリスの花の特徴量を記録したものです。

このデータセットには、3つの品種(Setosa、Versicolor、Virginica)の合計150個のアイリスの花の4つの特徴量(がく片の長さ、がく片の幅、花びらの長さ、花びらの幅)が含まれています。各特徴量は、センチメートル単位で測定されています。

from sklearn.datasets import load_iris
iris = load_iris()
data = iris.data

サンプリングデータの生成

np.random.choice()を使用して、ランダムなインデックスを生成し、それに対応する元のデータを取得します。

sample_size = 100
sample_indices = np.random.choice(len(data), sample_size, replace=True)
sample_data = data[sample_indices]

推定値の計算

推定値を計算する関数を定義し、サンプリングデータに適用します。以下の例では、平均値を推定値として計算しています。

def estimate_statistic(sample_data):
    return np.mean(sample_data)

sample_statistics = [estimate_statistic(sample_data) for _ in range(1000)]

推定値の分布を表示

Matplotlibを使用して、推定値の分布を表示します。

import matplotlib.pyplot as plt
plt.hist(sample_statistics, bins=30)
plt.show()

以上のステップにより、Pythonでブートストラップ法を実装することができます。

ブートストラップ法の応用パーセンタイルブートストラップ法

ブートストラップ法は、標本サイズが小さい場合に有効な手法であり、大量のサンプリングデータを生成することによって、母集団分布の性質を推定することができます。なお、上記の例では、単純なブートストラップ法を使用しています。単純なブートストラップ法では、データのランダムサンプリングを繰り返すことによって、推定値の分布を近似します。この方法は、母集団分布が正規分布である場合には有効ですが、母集団分布が非正規分布の場合には、適切なブートストラップ法を選択する必要があります。たとえば、非正規分布の場合には、パーセンタイルブートストラップ法を使用することができます。パーセンタイルブートストラップ法では、データのランダムサンプリングを繰り返し、各サンプリングデータに対して、推定値を計算します。そして、サンプリングデータから得られた推定値の分布から、上位と下位のパーセンタイルを抽出し、それらを信頼区間として報告します。Pythonでのパーセンタイルブートストラップ法の実装については、以下のコードを参考にしてください。

from sklearn.datasets import load_iris
iris = load_iris()
data = iris.data

def estimate_statistic(sample_data):
    return np.mean(sample_data)

sample_size = 100
sample_statistics = []
for i in range(1000):
    sample_indices = np.random.choice(len(data), sample_size, replace=True)
    sample_data = data[sample_indices]
    sample_statistics.append(estimate_statistic(sample_data))

confidence_interval = np.percentile(sample_statistics, [2.5, 97.5])
print("95% confidence interval:", confidence_interval)

まとめ

以上のように、Pythonを使用してブートストラップ法を実装することができます。ブートストラップ法は、サンプルサイズが小さい場合に有効な手法であり、母集団分布の性質を推定するために広く使用されています。適切なブートストラップ法を選択することで、より精度の高い推定値と信頼区間を得ることができます。

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