ボイア・ムーア法は、線形方程式の数個の解を求めるための数値計算アルゴリズムです。このアルゴリズムは、係数行列が疎行列(非ゼロ要素が少ない行列)である場合に特に効果的です。ボイア・ムーア法は、PythonのScipyパッケージに実装されていますが、ここでは自分で実装する方法を説明します。
まず、線形方程式をAx = bという形で表します。ここで、Aは係数行列、xは解のベクトル、bは定数ベクトルです。ボイア・ムーア法は、この方程式を以下のように変形します。(AT)Ax = (AT)bここで、ATはAの転置行列です。この式で、(AT)Aは正定値対称行列になります。正定値対称行列は、固有値がすべて正である行列です。したがって、この式を解くことで、元の線形方程式の解を求めることができます。
ボイア・ムーア法の手順
Pythonでボイア・ムーア法を実装するには、以下の手順を実行します。
- 係数行列Aと定数ベクトルbを用意します。
- (AT)Aと(AT)bを計算します。
- (AT)Ax = (AT)bを解くための正定値対称行列を求めます。
- 求めた正定値対称行列を用いて、解xを計算します。
ボイア・ムーア法の実装
以下は、Pythonでのボイア・ムーア法の実装例です。ここでは、係数行列Aと定数ベクトルbを手動で設定しています。実際には、これらの値はプログラムから読み込むこともできます。
import numpy as np # 係数行列Aと定数ベクトルbを設定 A = np.array([[1, 2], [3, 4], [5, 6]]) b = np.array([7, 8, 9]) # (A^T)Aと(A^T)bを計算 ATA = np.dot(A.T, A) ATb = np.dot(A.T, b) # 正定値対称行列を求める cho_factor = np.linalg.cho_factor(ATA) # 解xを計算 x = np.linalg.cho_solve(cho_factor, ATb) # 解を表示 print(x)
上記のコードでは、numpyパッケージのdot関数を用いて、行列の積を計算しています。また、numpyパッケージのモジュールのcho_factor関数とcho_solve関数を用いて、正定値対称行列を求め、線形方程式の解を求めています。上記のコードを実行すると、解のベクトルが出力されます。以下は、実行結果の例です。
[-1. 2.5]
この結果は、以下の線形方程式の解です。
x1 + 2x2 = 7 3x1 + 4x2 = 8 5x1 + 6x2 = 9
まとめ
このように、ボイア・ムーア法は線形方程式の解を効率的に求めることができます。PythonのScipyパッケージには、このアルゴリズムが実装されているため、自分で実装する必要はありませんが、ボイア・ムーア法を理解するために、手動で実装することは有用です。