Python Webアプリのバックエンド開発に必要な知識や基本的な考え方

この記事では、Pythonを用いたWebアプリケーションのバックエンドができるようになるまでに開発に必要な知識、基本的な考え方、そして開発を始めるための道筋を解説していきます

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バックエンド開発とは?

バックエンド開発とは、Webアプリケーションのサーバーサイド、つまりユーザーから直接見えない部分の開発を指します。主な対象には以下が含まれます。

  • データベース操作: データの保存、取得、更新、削除など、アプリケーションに必要なデータの管理
  • API開発: Webアプリケーションやモバイルアプリケーションがデータや機能を利用するためのインターフェースの提供
  • ビジネスロジックの実装: アプリケーションの核となる処理(ECサイトでの注文処理、SNSでの投稿処理など)の記述
  • サーバー/インフラ管理: Pythonの実行環境(サーバー)や、クラウドサービス(AWS, GCP, Azureなど)の管理

バックエンド開発を学ぶためのステップ

Pythonでのバックエンド開発を習得するには、理論と実践をバランス良く行うことが重要です。以下のステップで学習を進めることで、効率的に知識とスキルを身につけることができます。

ステップ1: Pythonの基礎を固める

バックエンド開発を始める前に、Pythonの基本的な文法と概念を理解することが不可欠です。特に、バックエンド開発で頻繁に使用される以下の項目は重点的に学習しましょう。

  • データ型: 整数、浮動小数点数、文字列、リスト、辞書、タプル、集合
  • 制御構文: if文、for文、while文
  • 関数: 引数、戻り値、デフォルト引数、可変長引数
  • クラスとオブジェクト: クラスの定義、インスタンス化、メソッド、継承、カプセル化
  • モジュールとパッケージ: import文の使い方、標準ライブラリの活用
  • 例外処理: try...except文によるエラーハンドリング

これらの基礎知識は、Webフレームワークの学習やデータベース操作、API開発など、後続のステップ全てにおいて必要となります。

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ステップ2: Webフレームワークを学ぶ (Django, Flask)

Pythonの基礎を習得したら、次はWebフレームワークを学びます。PythonのWebフレームワークにはさまざまなものがありますが、代表的なものはDjangoとFlaskです。DjangoとFlaskのどちらを選ぶかは、プロジェクトの規模や要件によって異なります(比較表を参照)。

特徴 Django Flask
スケール 大規模〜中規模アプリケーション向き。フルスタックフレームワークであり、Webアプリケーション開発に必要な機能(ORM、テンプレートエンジン、認証、管理画面など)が最初から揃っている。 小規模〜中規模アプリケーション向き。マイクロフレームワークであり、最小限の機能のみを提供。必要に応じて拡張機能を追加していくスタイル。自由度が高い。
学習コスト 比較的高い。フレームワークの規約を覚える必要がある。 比較的低い。シンプルで直感的に理解しやすい。
柔軟性 低い。Djangoの流儀に従う必要がある。 高い。自分で自由に構成を決められる。
データベース連携 ORM(Object-Relational Mapper)が強力。Pythonのコードでデータベースを操作できる。 ORMは標準では提供されない。SQLAlchemyなどのライブラリを別途利用することが多い。
その他 管理画面が自動生成されるため、開発効率が高い。セキュリティ機能も充実している。 軽量で、API開発やシンプルなWebサイト構築に適している。

フレームワークを学ぶ際は、まず以下の基本的な構成要素を理解しましょう。

  • ルーティング: URLと処理(ビュー関数)を紐付ける仕組み
  • ビュー: リクエストを受け取り、レスポンスを返す関数
  • テンプレート: HTMLを動的に生成するための仕組み (特にDjangoの場合)
  • モデル: データベースのテーブルをPythonのクラスで表現したもの (特にDjangoの場合)

次に、フレームワークの公式ドキュメントやチュートリアルを参考に、簡単なWebアプリケーション(TODOリストやブログなど)を作成してみることをおすすめします。実際に手を動かすことで、フレームワークの使い方や仕組みがより深く理解できます。

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ステップ3: データベースを操作する

Webアプリケーションでは、ほとんどの場合、データベースとの連携が必要です。ステップ2で選んだフレームワークと連携しやすいデータベースを選択し、基本的な操作方法を学びましょう。

DjangoはORMとの連携が強力なため、RDBとの相性が良いです。一方、FlaskはSQLAlchemyなどのライブラリを使うことで、RDB/NoSQLどちらとも柔軟に連携できます。RDBを選択した場合は、SELECTINSERTUPDATEDELETEなどの基本的なSQL文を理解しておくと、ORMを使用する場合でも効率的なクエリを書けるようになります。

ORM(Django ORMまたはSQLAlchemy)を利用することで、Pythonのコードでデータベースを操作できます。SQLを直接書く必要がなくなるため、開発効率が向上します。データベースへの接続方法、データの作成 (Create)、読み取り (Read)、更新 (Update)、削除 (Delete) の方法、いわゆるCRUD操作を習得しましょう。

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ステップ4: APIを開発する

近年のWeb開発では、APIを通じてデータや機能を提供することが一般的です。ステップ2で学んだフレームワークを使って、RESTful APIを開発する方法を学びます。

まず、以下のRESTful APIの設計原則を理解しましょう。

次に、Flask-RESTful、Django REST Framework、FastAPIなどのAPIフレームワークを利用して、APIを効率的に開発します。これらのフレームワークは、API開発に必要な機能を提供してくれます。PythonオブジェクトとJSON形式のデータを相互に変換するシリアライゼーションや、APIのセキュリティを確保するための認証(誰がアクセスしているか)と認可(アクセス権限があるか)の仕組みも実装する必要があります。

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ステップ5: セキュリティ、デバッグ、テスト、コード管理、ドキュメンテーション

Webアプリケーションを安全に運用し、品質を維持するためには、以下の要素も重要です。

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ステップ6: 開発環境の構築、デプロイ

最後に、開発環境を構築し、アプリケーションを公開(デプロイ)する方法を学びます。

まず、仮想環境(venv, virtualenv)を作成し、プロジェクトごとに独立したPython環境を構築します。これにより、プロジェクト間の依存関係の衝突を防ぐことができます。VSCodeやPyCharmなどのエディタ/IDEを使い、効率的に開発を行いましょう。オプションとして、Dockerを使ってコンテナベースの開発環境を構築することもできます。

アプリケーションを公開するには、Webサーバー(Nginx, Apache)やWSGIサーバー(Gunicorn, uWSGI)の設定を行います。AWSGCP、Azure、Herokuなどのクラウドプラットフォームを利用すると、比較的簡単にアプリケーションを公開できます。さらに、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)環境を構築し、デプロイを自動化することも可能です。

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まとめ

この記事では、Pythonを用いたWebアプリケーションのバックエンド開発に必要な知識、基本的な考え方、開発を始めるための道筋を解説しました。まずはPythonの基礎をしっかりと身につけ、次にWebフレームワーク(DjangoやFlask)の基本的な使い方を学びましょう。データベース操作、API開発、セキュリティ対策、テスト、コード管理など、バックエンド開発に必要な要素は多岐にわたりますが、一つずつ着実に習得していくことが重要です。

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