PyCurlは、PythonでCURLを使用するためのラッパーライブラリであり、HTTP、HTTPS、FTPなどのプロトコルを使用してデータを取得することができます。PyCurlはWebスクレイピングやHTTPリクエスト、APIのテストを行うための強力なツールです。この記事では、PythonでPyCurlを使用する方法を解説します。また、実際の例とコードを使用して、PyCurlを使用したHTTPリクエストを行う方法について説明します。さらに、発生する可能性のあるエラーとその対処方法についても説明します。
- PyCurlのインストール
- PyCurlの利用手順
- 実例とコード
- 発生する可能性のあるエラーとその対応法
- Could not resolve host
- Failed to connect to example.com port 80: Connection refused
- Operation timed out after 1000 milliseconds with 0 bytes received
- Problem with the SSL CA cert
- Failed writing body
- ImportError: pycurl: libcurl link-time ssl backend (openssl) is different from compile-time ssl backend (none/other)
- まとめ
PyCurlのインストール
まず、PyCurlをインストールする必要があります。PyCurlは、以下のようにpipコマンドを使用してインストールできます。インストール済みの場合は、スキップしてください。
pip install pycurl
PyCurlの利用手順
PyCurlの初期化
次に、curlオブジェクトを初期化する必要があります。これには、pycurl.Curl()
メソッドを使用します。
import pycurl
c = pycurl.Curl()
URLの設定
リクエスト先のURLを設定するには、setopt()
メソッドを使用します。setopt()
メソッドは、Curlオブジェクトに対して特定のオプションを設定するために使用されます。これにより、HTTPリクエストの構成や振る舞いをカスタマイズすることができます。下記のコードでは、HTTPリクエスト先のURLを使用するために、URL
のオプションを利用しています。
c.setopt(c.URL, 'https://www.example.com/')
setopt()
で指定できるオプション
setopt()
メソッドの代表的なオプションを紹介します。
オプション | 説明 |
---|---|
URL | リクエスト先のURLを指定します。 |
WRITEDATA | 取得したデータを書き込む先のファイルやバッファを指定します。 |
CONNECTTIMEOUT | 接続のタイムアウトを設定します。 |
TIMEOUT | 転送のタイムアウトを設定します。 |
USERAGENT | ユーザーエージェント文字列を設定します。 |
COOKIEFILE | クッキーファイルを指定します。 |
HTTPHEADER | 追加のHTTPヘッダーを設定します。 |
FOLLOWLOCATION | リダイレクトを自動的に追跡するかどうかを設定します。 |
PROXY | プロキシを設定します。 |
SSL_VERIFYPEER | SSL証明書の検証を有効または無効にします。 |
SSL_VERIFYHOST | ホスト名のSSL証明書の検証を有効または無効にします。 |
HTTPリクエストの送信
HTTPリクエストを送信するには、perform()
メソッドを使用します。
c.perform()
HTTPレスポンスの取得
HTTPレスポンスを取得するには、getinfo()
メソッドを使用します。以下は、HTTPレスポンスを取得する例です。
response_code = c.getinfo(c.RESPONSE_CODE) response_time = c.getinfo(c.TOTAL_TIME)
getinfo()
で取得できる情報
cURL
ライブラリのgetinfo
関数を使用して、リクエストに関するさまざまな情報を取得できます。よく利用される代表的なパラメータを紹介します。
パラメータ | 説明 |
---|---|
RESPONSE_CODE | リクエストが実際に送信されたURLを取得します。 |
TOTAL_TIME | リクエストの総時間を秒単位で取得します。 |
EFFECTIVE_URL | リクエストが実際に送信されたURLを取得します。 |
TOTAL_TIME | リクエストの総時間を秒単位で取得します。 |
NAMELOOKUP_TIME | DNS名前解決にかかった時間を秒単位で取得します。 |
CONNECT_TIME | 接続の確立にかかった時間を秒単位で取得します。 |
PRETRANSFER_TIME | 最初のバイトが送信されるまでの待機時間を秒単位で取得します。 |
STARTTRANSFER_TIME | 最初のバイトが受信されるまでの待機時間を秒単位で取得します。 |
REDIRECT_TIME | リダイレクトにかかった時間を秒単位で取得します。 |
SIZE_DOWNLOAD | ダウンロードされたデータのサイズを取得します。 |
HEADER_SIZE | レスポンスヘッダーのサイズを取得します。 |
REQUEST_SIZE | リクエストヘッダーのサイズを取得します。 |
SSL_VERIFYRESULT | SSL証明書の検証結果を取得します。 |
CONTENT_LENGTH_DOWNLOAD | ダウンロードされるコンテンツの予想サイズを取得します。 |
PyCurlのクローズ
最後に、curlオブジェクトをクローズする必要があります。これには、close()
メソッドを使用します。
c.close()
実例とコード
PyCurlを使用して、Webページからデータを取得するための基本的な例を示します。ここでは、GoogleのホームページにpyCurlでアクセスし、HTMLコンテンツを取得します。
import pycurl buffer = io.BytesIO() c = pycurl.Curl() c.setopt(c.URL, 'https://www.google.com') c.setopt(c.WRITEDATA, buffer) c.perform() c.close() body = buffer.getvalue() print(body.decode('iso-8859-1'))
このコードでは、まずio.BytesIO
オブジェクトを作成します。これは、CURLが取得したデータを格納するためのバッファーです。pycurl
は、データを取得する際にファイルに直接書き込むのではなく、Pythonのファイルライクなオブジェクトに書き込むことができます。この場合、io.BytesIO()
を使用してバッファを作成することで、取得したデータをメモリ上に一時的に格納することができます。そして、必要に応じてそのデータを後で処理できます。
次に、pycurl.Curlオブジェクトを作成し、setopt()メソッドを使用してURLとWRITEDATAを設定します。そして、perform()メソッドを呼び出して、リクエストを送信し、バッファーにデータを格納します。最後に、バッファーから取得したデータをデコードし、HTMLコンテンツを出力します。
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発生する可能性のあるエラーとその対応法
PyCurlを使用する際には、以下のようなエラーが発生する可能性があります。
Could not resolve host
pycurl.error: (6, 'Could not resolve host: example.com')
これは、指定されたホストが解決できない場合に発生します。解決するためには、DNSの設定を確認したり、コード内のホスト名をIPアドレスに変更するなどの方法があります。
Failed to connect to example.com port 80: Connection refused
pycurl.error: (7, 'Failed to connect to example.com port 80: Connection refused')
これは、指定されたポートが閉じている場合に発生します。解決するには、別のポートに接続するか、ポートを開く必要があります。
Operation timed out after 1000 milliseconds with 0 bytes received
pycurl.error: (28, 'Operation timed out after 1000 milliseconds with 0 bytes received')
これは、指定されたタイムアウト時間内に応答がない場合に発生します。リクエスト先が正しいことを確認した上で、解決するには、タイムアウト時間を増やす必要があります。タイムアウト時間を増やすにはsetopt()
でCONNECTTIMEOUT
に秒数を指定します。
c.setopt(c.CONNECTTIMEOUT, 30) # 30秒にタイムアウト時間を設定する
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Problem with the SSL CA cert
pycurl.error: (77, "Problem with the SSL CA cert (path? access rights?)")
このエラーは、SSL証明書に問題がある場合に発生します。これを修正するには、次のコマンドを実行して、証明書を更新すると修正される場合があります。環境を変更する際は、証明書の更新による影響に注意して実行して下さい。
sudo update-ca-certificates
Failed writing body
pycurl.error: (23, 'Failed writing body (0 != 3897)')
このエラーは、取得したデータを書き込む際に問題が発生した場合に発生します。これを修正するには、バッファーのサイズを増やす必要があります。バッファーを増やす際は、setopt()
でBUFFERSIZE
を大きい値に指定します(指定する値はバイト数)。例えば、先ほど作成したコード例でバッファーサイズを1MBに指定する場合は次のように修正します。
buffer = io.BytesIO() c = pycurl.Curl() c.setopt(c.URL, 'https://www.google.com') c.setopt(c.WRITEDATA, buffer) c.setopt(c.BUFFERSIZE, 1024000) # 1MB buffer size c.perform() c.close() body = buffer.getvalue() print(body.decode('iso-8859-1'))
ImportError: pycurl: libcurl link-time ssl backend (openssl) is different from compile-time ssl backend (none/other)
ImportError: pycurl: libcurl link-time ssl backend (openssl) is different from compile-time ssl backend (none/other)
このエラーは、pycurl
がリンクされたlibcurlと、コンパイル時に使用されたSSLバックエンド(この場合はOpenSSL)とが異なることを示しています。通常、これはOpenSSLがlibcurlにリンクされていない状況で発生します。このような状況では、libcurlがOpenSSLの機能を利用できないため、SSL関連の機能を使用するpycurl
が正常に動作しなくなります。
このエラーを解決するには、pycurl
をOpenSSLをリンクしたバージョンで再コンパイルする必要があります。以下のようなコマンドで再インストールを行うことで解決する場合があります。環境を変更する際は、周りの依存関係に注意して実行して下さい。
sudo apt-get install libcurl4-openssl-dev libssl-dev
まとめ
PythonでのPyCurlの使用方法を解説しました。PyCurlを使用することで、HTTP、HTTPS、FTPなどのプロトコルを使用してデータを取得することができます。また、実際の例とコードを使用して、PyCurlを使用したHTTPリクエストを行う方法について説明しました。さらに、発生する可能性のあるエラーとその対処方法についても説明しました。これらの情報を使用して、PythonでWebスクレイピングやHTTPリクエストを行う際に、PyCurlを使用することができます。最後にPythonの学習に利用できるUdemy のサイトを紹介します。ぜひ活用ください。
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