文字列を暗号化するPythonプログラム(シーザー暗号、AES、ハッシュ)

Pythonでユーザーが入力した文字列を暗号化するプログラムを作成する方法について説明します。暗号化は、データを保護するための重要な手段の1つです。Pythonは、文字列を暗号化するための様々な方法を提供しています。以下に、いくつかの方法を紹介し、それぞれの方法の実装を説明します。

方法1: Caesar Cipher(シーザー暗号)

Caesar Cipherは、最も基本的な暗号化技術の1つであり、文字列をシフトすることによって暗号化します。文字列を1文字ずつシフトして、暗号化された文字列を作成することができます。

以下は、PythonでCaesar Cipherを実装する方法の例です。

def caesar_cipher(text, shift):
    result = ""
    # アルファベットの数だけ繰り返し処理を実行
    for i in range(len(text)):
        char = text[i]
        # 大文字の場合
        if char.isupper():
            result += chr((ord(char) + shift - 65) % 26 + 65)
        # 小文字の場合
        elif char.islower():
            result += chr((ord(char) + shift - 97) % 26 + 97)
        # その他の場合(数字、記号など)
        else:
            result += char
    return result

この関数は、2つの引数を取ります。1つ目の引数は、暗号化する文字列であり、2つ目の引数は、シフト数です。関数は、暗号化された文字列を返します。

アルファベットの各文字を順番に取り出し、大文字と小文字で場合分けして、それぞれシフト量を加算した上で、26で割った余りを取って、対応する文字に変換します。

具体的には、大文字の場合はASCIIコード上で65番目から始まるため、シフト量を加算した後に65を引いて、アルファベットの数である26で割った余りを求め、その余りに65を加えることで、暗号化された文字に変換しています。小文字の場合も同様に処理されます。

例えば、Aから2文字分右に移動した場合、Cに対応する文字のASCIIコードは、(65 + 2 - 65) % 26 + 65 = 67 % 26 + 65 = 13 + 65 = 78 となります。つまり、シフト量2で暗号化された文字は、元の文字の次の2文字目に対応する文字、すなわちCになります。

その他の文字(数字、記号など)は暗号化されずにそのまま出力されます。

最終的に、暗号化された文字列がresultという変数に格納され、それが関数の戻り値として返されます。

方法2: AES(Advanced Encryption Standard)

AESは、対称鍵暗号方式の1つであり、非常に強力な暗号化技術です。AESは、128ビット、192ビット、256ビットの鍵長を持つことができます。

以下は、PythonでAESを実装する方法の例です。

from Crypto.Cipher import AES
import base64

def aes_encrypt(text, key):
    # 鍵の長さを調整
    key = key.encode('utf-8')
    key = key + b'\0' * (AES.block_size - len(key) % AES.block_size)
    # AES暗号化オブジェクトの作成
    cipher = AES.new(key, AES.MODE_ECB)
    # パディングされた文字列を作成
    text = text.encode('utf-8')
    text = text + b'\0' * (AES.block_size - len(text) % AES.block_size)
    # 暗号化された文字列の作成
    encrypted_text = cipher.encrypt(text)
    # Base64でエンコード
    encrypted_text = base64.b64encode(encrypted_text)
    return encrypted_text.decode('utf-8')

この関数は、2つの引数を取ります。1つ目の引数は、暗号化する文字列であり、2つ目の引数は、暗号化に使用する鍵です。関数は、暗号化された文字列をBase64エンコードして返します。

このプログラムではまず、Crypto.CipherモジュールからAESオブジェクトをインポートします。そして、引数として暗号化するテキストと鍵を受け取るaes_encrypt()関数を定義します。

鍵をUTF-8エンコードしてバイト文字列に変換し、必要に応じてパディングします。次に、AESモードECBで暗号化オブジェクトを作成します。暗号化するテキストをUTF-8エンコードしてバイト文字列に変換し、必要に応じてパディングします。そして、暗号化されたテキストを生成します。

最後に、生成された暗号化されたテキストをBase64エンコードし、文字列として返します。つまり、このプログラムは、与えられたテキストをAESで暗号化し、Base64エンコードした文字列を返します。

方法3: Hashing(ハッシュ関数

ハッシュ関数は、任意の長さのデータを固定長のデータに変換する関数です。ハッシュ関数を使用すると、元のデータがどんなものであっても、固定長の出力が得られます。ハッシュ関数は、パスワードの保存などに使用されます。

以下は、Pythonハッシュ関数を実装する方法の例です。

import hashlib

def hash(text):
    # SHA-256ハッシュ関数を使用
    hash_object = hashlib.sha256(text.encode('utf-8'))
    # ハッシュ値を16進数表記で取得
    hashed_text = hash_object.hexdigest()
    return hashed_text

この関数は、1つの引数を取ります。引数は、ハッシュする文字列です。関数は、SHA-256ハッシュ関数を使用して、ハッシュ値を計算し、16進数表記で返します。

このPythonプログラムは、ハッシュ関数を定義するために、hashlibというライブラリを使用しています。hashlibライブラリは、Python標準ライブラリに含まれるハッシュ関数を提供しており、このプログラムではSHA-256アルゴリズムを使用しています。

関数内では、引数として与えられた文字列をUTF-8エンコードしてバイト列に変換し、それを引数としてhashlib.sha256()関数を使用して、SHA-256アルゴリズムを使用したハッシュオブジェクトを生成します。ハッシュオブジェクトは、ハッシュ値を保持しており、hexdigest()関数を使用して、16進数表記でハッシュ値を取得します。

最終的に、取得したハッシュ値を文字列として返し、これにより、与えられた文字列をSHA-256アルゴリズムを使用してハッシュ化した値を得ることができます。

まとめ

以上のように、Pythonを使用して文字列を暗号化する方法について説明しました。どの方法を使用するかは、データのセキュリティレベルに応じて決定する必要があります。暗号化されたデータのセキュリティは、鍵の長さ、使用される暗号化アルゴリズム、鍵の管理方法によって大きく影響されます。これらのプログラムはPythonの基本的な文法とライブラリで実装することができます。Pythonの基礎学習には下記のようなサイトの利用が有効です。

click.linksynergy.com

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